結婚20年以上の「配偶者の権利拡大」についての相続法改正を解説
「配偶者の権利拡大」についての相続法改正を解説します。
相続税節税のプロ集団による
最大限節税できる相続税申告を
結婚20年以上の妻(夫)の権利を拡大
結婚20年以上の妻(夫)の権利を拡充する為の提案が法制審議会においてなされました。
従来までの法律では、基本的には相続人である妻(夫)とその子の権利はほぼ等しく扱われていました。
しかし、日本の超高齢社会の進展や核家族化等により、夫婦の一方が亡くなった場合、残された方の妻(夫)のその後の生活が困窮してしまう問題が顕著になってきました。
2017年における日本の平均寿命は、男性が81.09年、女性が87.26年。
(厚生労働省ホームページより)
今後、更に日本の高齢化率は上昇していくと思われます。
平均寿命から仮の計算をします。
夫が81歳に亡くなってしまったとしたら、夫の遺産を相続した妻は、それ以後の生活約6年以上を、遺産に頼らざるを得ない状況となりますね。
それに従い、遺された妻(夫)の生活保障の意味で、妻(夫)の権利を拡充しようと法改正の議論が進められたのです。
今後は、結婚20年以上の妻(夫)は自宅の相続において権利が拡充される事になりそうです。
※相続法改正案の項目のうち、ほとんどは2019年7月12日までに施行されます。
例えば、夫80歳、妻76歳、子1人の家族を想定します。
5000万円の自宅と土地を妻に相続させるという内容の遺言だった場合。
(結婚40年で預貯金1000万円)
現行の法律であれば、自宅・土地に預貯金を加えた6000万円を法定相続分に従い、分割する事になります。
妻の法定相続分は6000万円の2分の1である3000万円となりますが、既に5000万円分の自宅・土地を得ている為、預貯金を得る事ができなくなってしまいます。
更に、子が「遺留分減殺請求権」を行使すれば、貰い過ぎた2000万円にあたる金銭を返還する必要がでてくる場合もあるかもしれません。
現行の法律では、妻が預貯金を得られない為、困窮してしまうケースがありました。
しかし、今回の改正案により、そもそも5000万円分の自宅・土地は「特別受益」にあたらないとされ、相続財産に加算せずに相続分を計算できるようになる見込みです。
※「特別受益」は相続人が被相続人からの自宅財産の遺贈などにより特別に利益を受ける事です。
つまり、5000万円分を持ち戻し、相続分を計算するわけではなくなった為、妻は夫の遺産である自宅・土地5000万円分に加え、預貯金の法定相続分500万円を得る事ができるようになります。
ただし注意点もあります。
自宅・土地所有者である被相続人(今回は夫)からの「贈与」または「遺贈」である事を遺言等によって、意思表示している事が前提です(同法903条3項)。
そして、結婚後20年以上経過した妻(夫)のみの適用となる見込みです。
また、法律婚でなく事実婚の場合は認められません。
その為、今回のケースが仮に事実婚だった場合、妻は子にもらい過ぎた2000万円分の金銭を侵害請求される可能性もあります。
相続については複雑な計算もあります。不安な部分については、相続専門の税理士等に相談するのも良いでしょう。
押さえておきたい相続税の知識
申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です
①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。
相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。
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特に不動産・土地を相続する方はご注意ください
相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。
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相続税節税のプロ集団による
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岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志
税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業
相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,430件(2024年11月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。