「遺言書の効力」とは。無効の場合、開封した場合や遺留分減殺請求など

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遺言書の効力

「遺言書の効力」について詳しくまとめています。

遺言書がある場合の遺言書の効力とは

遺言は書式が決まっていますので、書き方によって効力が無い場合があります。
無効な場合は、遺言は使えませんので、遺産分割することになります。遺言書には、自筆証書遺言と、秘密証書遺言、公正証書遺言の三種類があります。

公正証書遺言は公証人が作成しますので、基本的に不備等が原因で無効になることはありません。しかし、自筆証書遺言、秘密証書遺言だと、内容が不十分で無効になってしまう場合があります。

自筆証書遺言が無効となる7つのケースとは

  • チェック遺言書に日付が記入されていない
  • チェックパソコンやワードで作成している(財産目録を除く)
  • チェック利害関係を持つ者が、遺言書を書かせていると疑われる
  • チェック被相続人(亡くなった方)の署名押印がない
  • チェック加筆修正のやり方が、正式なやり方にのっとっていない(加筆修正箇所のみが無効となります。)
  • チェック15歳未満
  • チェック認知症等で意思能力がないと判断された場合

秘密証書遺言が無効となるケースとは

自筆証書遺言が無効になるケースと違う点は、ワープロで記入していても遺言書が有効な点のみです。

それ以外は、「自筆証書遺言が無効にされるケースは、秘密証書でも無効」と解釈して問題ありません。

公正証書遺言が無効となるケースとは

・認知症等で意思能力がないと判断された場合
公証人が適切な手続きを行って作成されるものなので、無効となるケースは稀です。

また、すべての遺言書共通で、相続人全員が、遺言書の内容を認めなかった場合は、遺言が認められません。

遺言内で、贈与先として、法定相続人以外が記されていた場合は、その人からの同意もあれば無効にできます。
つまり、遺言書は絶対的な効力を持っていません。
有効な遺言書で、愛人等にすべて贈与すると記されていても、法定相続人であれば、遺留分減殺請求をし、お金を得ることができます。
どこまでが相続人?遺留分や法律で定められた相続人の範囲と遺産の割合について

遺言書が効力を持つ期間や期限は?

遺言書に時効はない

遺言書に時効はなく、時間の経過によって、効力が無くなることはありません。つまり、数十年前の遺言が見つかっても、遺言書の書き方に不備が無ければ、有効となります。

遺言書が複数見つかった場合は?

遺言書は日付のあるものが有効です。日付が違うものが、複数あり、内容に矛盾がある場合は、最新のものが有効となります。矛盾がない場合は、どちらも有効となります。

遺言書が遺産分割後に見つかった場合は?

遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合でも、受遺者と相続人の中のひとりでも「遺言通りにする」という意思があれば、遺言書に効力があります。

遺言書を開封した場合の効力とは

遺言書を開封しても、遺言の効力が無くなったり、相続できなくなることはありません。
また、公正役場に原本が保管されている、公正証書遺言の場合は封を開けても問題はありません。
しかし、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は基本的に封を閉じた状態で残し、勝手に封を開けてはいけません。
勝手に開けると、5万円以下の罰金が科せられます。しかし、罰金が実際に生じることは、通常ありません。
しかし、罰金の実例を確認できなくとも、「開けることで、他の相続人に偽造等の不信感を持たせる」、「改変や隠匿の疑いをかけられ、相続できなくなる」可能性があります。
開けてしまった場合は、開封していない場合と同様に、家庭裁判所に行き、遺言書の検認を行いましょう。

また、裁判所のページにて必要書類の記載があるので、行く前に確認しておきましょう。

遺言書の検認 | 裁判所(外部リンク)

遺言を隠匿や改変をしてしまった人は、相続分を受け取れなくなることもあります。

遺言を見つけたら、家庭裁判所に「これは被相続人の遺言書です」という印鑑を押してもらう検認という作業をまず行います。

遺言書を無くした場合の遺言書の効力とは

公証役場でなく、自宅にのみ保管されているものは、無くしてしまったら、遺言書の効力は無くなります。
例えば、相続人の誰かが納得いかない内容だからと遺言書を燃やしてしまったら、遺言の効力が無くなるわけです。
遺言書が無くなった場合は、遺産分割で話し合って決めます。遺言書に何が書いてあったかは関係ありません。
ですので、大事な遺言書は破損破棄に気をつけましょう。

遺言の内容に納得がいかない場合の遺言書の効力は

遺言書の通りに分割する必要はありません

遺言というのは、あくまで被相続人(亡くなった方)の遺志を尊重するためのものであり、絶対に従わなければいけないわけではありません。
遺言は、相続人全員が同意すれば、遺言の効力を無くなります。ただし、相続人のうち1人でも「その遺言通りに」という人がいれば、遺言優先です。

相続人以外(愛人など)に遺言等で財産が残されている場合

相続人以外(愛人など)に遺言等で財産が残されている場合は、相続人以外(愛人など)の同意があれば、遺言に従う必要がありません。

しかし、そういったケースでは、現実的にその人が「遺言に従う必要はない」という意見に同意するとは考えられないので、実行は難しいでしょう。

その場合は、次の項でご説明する「遺留分減殺請求」を検討してみてください。

遺留分減殺請求とは?相続人の相続財産を保証する

民法では、法定相続人(兄弟姉妹を除く)に対して、遺言によっても侵し得ない、相続財産に対する最低限度の取り分を保証しています。この最低限度の取り分のことを「遺留分」といいます。

例えば愛人にすべての相続財産を持っていかれてしまった場合

法定相続人が自分が相続する権利を主張することができるのです。

主張ができる権利は、基本的に法定相続分の半分です。被相続人(亡くなった方)の配偶者である奥さんなら、法定相続分が1/2なので、1/4の財産は確実にもらうことができます。

遺留分減殺請求の期限とは

遺留分減殺請求の期限は、相続化が開始された被、相続財産を分けた日から1年間です。

遺言書が無い場合

遺言書が無い場合には「遺産分割協議書」を作成

遺言書が無い場合は、相続人同士で話し合って、遺産分割をしていきます。分け方次第では、相続税額が大きく変わることもあるので、税理士に相談するのも一つの手です。

ただし、遺産分割協議書の作成に関しては、基本的に税理士の業務の範囲外です。遺産分割協議書を作成できるのは、弁護士と司法書士と行政書士です。

「もめそうな場合」は税理士に、「被相続人の遺志を組みつつ、不合理がないアドバイスを求める場合は」司法書士に、「最も安価で済ませたい場合」は行政書士に頼みましょう。

また、遺産分割協議書は、税務署に提出した後に、再度作り直す場合、各財産を相続人同士で贈与や譲渡をしたとみなされて、贈与税や所得税が課税されます。遺産分割協議書は一度作ったら、そう簡単に変えられないと思って作成しましょう。

遺言書の有無の確認方法

遺言書があるかを確認する方法は、公正証書遺言の場合は最寄りの公正役場に足を運べば、全国の公正役場のデータベース上から、遺言の有無を確認してもらえます。

最寄りの公証役場に必要書類

  • チェック「被相続人が亡くなった証明のできるもの(除籍謄本等)」
  • チェック「相続人と証明ができるもの(戸籍謄本等)」
  • チェック「相続人の身分証明書(運転免許証等)や認印」

等を、持参しましょう。

(必要書類は、事前に、各公正役場の公式サイトや問い合わせを行って確認することをお勧めします)

自筆証書遺言や秘密証書遺言が、自宅に保管されている場合は、自宅で探す手立てしかありません。

生前のうちに、「遺言を書いたか」確認しておくのがベストです。

また法務局で、自筆証書遺言の保管制度を利用している場合もありますので、その場合は法務局で確認します。

しかし、聞きにくいことでもありますし、見つかったら使う、見つからなかったら遺産分割するというスタンスで構いません。

相続税の申告は相続税専門の税理士に任すのが良い

相続税は、遺産の総額(土地等の財産も含む)が、基礎控除額以上である場合に発生する税金です。

相続税申告を自分でやろうとしている方や、お世話になっている税理士さんに任せようとしている方は注意が必要です。

相続税は過払いが発生しやすいため、「相続税専門の税理士」など専門的な知識がある人に相続税申告依頼をしないと、損する可能性があります。
実際、他の税理士が作成した相続税申告書を、当税理士法人が見なおした所、
8割以上の相続税申告書に相続税過払い
がありました。

相続税を申告する税理士によって、払うべき相続税の金額が大きく変わる理由

申告をする税理士によって、相続税額が変わる理由は「遺産に含まれる土地や不動産の評価額が過剰」であったり、「相続税を控除できるやり方を熟知できていない」から相続税の過払いは発生します。
税理士によって、遺産の評価額や相続税額が変わるということに疑問を持つ方もいます。

相続税専門でない税理士は、相続税の申告経験が元々少ないことはもちろんですが、そもそも、税理士試験の体裁上、「相続税法」は選択科目であるため、「相続税法」を深く学ばずに税理士になっている方も多くいます。「相続税の知識や経験が足りていない人が相続税申告できる状況」というのが、相続税額に大きな差異がでる一因として挙げられるでしょう。

何より、一般的な税理士にとって、相続税を節税するという作業は、時間と手間がかかる上に、報酬が上がる作業ではありません。
相続後にできる節税が行えていなかったとしても、税務署から連絡は来ません。
皆さん、気づかないうちに、相続税の払い過ぎが発生しているのです。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。

②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。

③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。

相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
相続税はいくらかかる?無料で相続税額を計算シミュレーション

特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

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この記事の監修者

岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志

税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業

相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,430件(2024年11月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

相続税専門の岡野雄志税理士
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