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【未支給年金とは?】請求方法や期限、よくある質問を詳しく解説

最終更新日:
未支給年金イメージ

年金を受給している方が亡くなった場合、受け取るはずだった「未支給年金」はどうしたらよいのでしょうか。未支給年金は本来なら故人が生前に支給されるはずのものなので、生計を同一にする人が相続することができます。この記事では、未支給年金について請求方法や期限、よくある質問をご紹介します。

未支給年金とは

年金給付の受給権者が死亡した場合、その人に支給されるべき年金のことを未支給年金といいます。まだ支給されていない年金は、請求に基づいて一定範囲の遺族に支給されることになっています。

未支給年金を請求できる年金の種類

未支給年金として請求できる年金には次のようなものがあります。

  • 国民年金(受給されていたすべての人が対象)
  • 厚生年金・共済年金(会社員・公務員だった人が対象)
  • 企業年金(勤め先で企業年金基金に加入していた人が対象)
  • 国民年金基金の年金(基金に加入していた自営業の人が対象)

未支給年金はいつ発生するか

次のタイミングで未支給年金が発生します。

  • 国民年金や厚生年金・共済年金といった公的年金の受給者が死亡した場合
  • 企業年金・国民年金基金など私的年金の受給者が死亡した場合

受給者の死亡の時期によって、請求できる未支給年金の金額が変わります。

本章では、公的年金での未支給分の請求について記載しています。私的年金の手続きについては、企業年金連合会または故人が加入していた年金基金までご問い合わせください。

未支給年金は相続財産になる?

未支給年金は相続財産にはなりません。なので相続税の課税対象ではありません。
(1)未支給年金の税務上の取り扱い ⇒ 相続税ではなく所得税として取り扱われる
(2)確定申告しなければならないケースがあることを記載

未支給年金は誰が請求できる?

受給権者と生計を同じくしていた人だけ

これまで未支給年金を請求できる遺族の範囲は、故人が亡くなった時点で生計を同じくしていた人、例えば故人の配偶者や子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっていましたが、平成26年4月から、年金機能強化法に基づき三親等内の親族にまで拡大されました。
三親等の親族とは、曾孫、曾祖父母、甥・姪、おじ(伯父)・おば(伯母)、配偶者の曾祖父母をはじめ、配偶者の甥や姪、配偶者のおじ(伯父)・おば(伯母)なども含まれます。

未支給年金請求者の範囲
出典:厚生労働省ホームページ

ただし未支給年金を請求できるのは、受給権者の死亡の当時、死亡した受給権者と生計を同じくしていた人だけです。生計を同一としない場合、請求権はありませんので注意が必要です。

請求者には順位がある

未支給年金を受け取る権利のある遺族には順位があります。

  • 1位:配偶者
  • 2位:子
  • 3位:父母
  • 4位:孫
  • 5位:祖父母
  • 6位:兄弟姉妹
  • 7位:上記以外の三親等内の親族

同順位者が2人以上いる場合

同じ優先順位の権利者が2人以上いる場合、1人が全員を代表して受け取るよう支給されます。

請求者が故人と別世帯・別住所の場合

未支給年金の請求者が故人と別世帯・別住所の場合は、生計を同一とする証明が必要です。

生計を同一とする人がいない場合

故人と生計を同一にする人がいない場合は、未支給年金は請求できません。

未支給年金の請求期限と請求先について

未支給年金の請求期限

未支給年金の請求期限は5年以内です。
5年以内に請求を行わなかった場合、未支給分は時効となってしまいます。

故人が繰り下げ受給待機中だった場合は、時効の起算が65歳からとなるので、早めに請求しましょう。さもないと、時効となってしまう可能性があります。

遺族給付の請求

遺族に支給されるもので、遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、死亡一時金などをまとめて「遺族給付」といいます。

こちらも請求期限があります。遺族年金・寡婦年金の時効は5年、死亡一時金の時効は2年です。

未支給年金はいくらもらえるのか?

死亡届の提出によって年金受給者が亡くなったことが市町村役場に伝わると、死亡月の15日に支給されるはずだった年金の支給が停止されます。未支給年金は、故人がいつ亡くなったのかによって受取分が変わります。

  • 未支給年金は故人が偶数月の前半に亡くなると3ヵ月分、後半に亡くなると1ヵ月分発生します
  • 未支給年金は故人が奇数月に亡くなると、前半に亡くなっても2ヵ月分、後半に亡くなっても2ヵ月分が発生します

月数ごとのもらえる未支給年金
例えば、老齢基礎年金の受給権者が9月20日に死亡した場合、故人が最後に受け取る年金は、10月15日に支給される8月分と9月分とになります。
年金は、受給権者が死亡した月の分まで支給されるため、この場合であれば、8月分と9月分が未支給年金となります。

未支給年金の請求のしかた

未支給年金の請求先

請求先は、受給していた年金の種類によって次のように変わります。
未支給年金の請求先
※障害基礎年金:初診日が第3号被保険者期間なら年金事務所。
※遺族基礎年金:死亡日が第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所。
※寡婦年金:年金事務所でも可。

4-2.請求に必要な書類

請求に必要となる書類は主に次のとおりです。請求先によって必要書類が異なることがあるので、詳しくは請求先で確認することをおすすめします。

  • 未支給年金請求書:「日本年金機構」からダウンロードできます。
  • 故人の年金手帳・年金証書
  • 戸籍謄本
  • 故人の住民票除票
  • 請求者の世帯全員の住民票
  • 振り込み先の通帳・キャッシュカード

未支給年金請求書の記載例
詳しくは、日本年金機構「死亡した方の未払い年金を受け取ることのできる遺族がいるとき」を参照してください。

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未支給年金Q&A

未支給年金Q&A

Q1.未支給年金の振込日はいつごろになりますか?

A1.請求から5~6ヵ月後になります。
未支給年金の支給決定、支給にかかる事務は日本年金機構が行い、請求から3~4ヵ月経過したころ未支給決定通知書または不該当通知書が郵送されます。
未支給年金は、支給決定通知書が送付されてからおおむね2ヵ月程で支給されます。

Q2.未支給年金は相続放棄した人も受け取れますか?

A2.受け取れます。

Q3.未支給年金は確定申告が必要ですか?

A3.場合によっては必要です。
未支給年金は一時所得として扱われます。一時所得には50万円の特別控除がありますが、ほかの一時所得と合算して50万円を超える場合は確定申告が必要です。

Q4.未支給年金に相続税はかかりますか?

A4.未支給年金に相続税はかかりません。
未支給年金を受け取った場合は一時所得ですので、所得税として扱われます。

Q5.介護施設に入所している母の未支給年金は受け取れますか?

A5.受け取れます。
「未支給年金請求書」と共に「生計同一関係に関する申立書」を提出して請求します。未支給年金の支給決定、支給にかかる事務は日本年金機構が行いますので、支給決定が下されれば受け取ることができます。

Q6.確定申告が必要である場合、実際に振り込まれた日を基準とする年の分としての確定申告でよいですか?それとも、あくまで前年に受け取るべき年金として考えるべきでしょうか?

A6.受け取った(振り込まれた)年度の申告の対象となります。
遺族が支給を受けた未支給年金は受け取った方の一時所得となります。そのため受け取った(振り込まれた)年度の申告の対象となります。一時所得には50万円の特別控除があるので、ほかの一時所得と合算して50万円を超えなければ申告の必要はありません。

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まとめ

年金受給者が亡くなると、亡くなった人は死亡した月の分まで年金を受け取る権利があります。生計を同一にする方は、未支給年金を受け取る権利がありますので請求手続きしたいものです。未支給年金は故人の財産で相続財産として考えられがちですが、あくまでも受け取った方の一時所得です。特別控除の50万円を超える場合は確定申告を忘れずに行いましょう。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。

②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。

③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。

相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
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特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

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この記事の監修者

岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志

税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業

相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,392件(2024年10月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

相続税専門の岡野雄志税理士
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