「資産家の相続税額」とは!田村正和氏の財産総額は20億円!?
田村正和氏の相続税額はいくらになる?
令和3(2021)年4月3日、俳優の田村正和氏がお亡くなりになりました。時代劇から二枚目半のコメディまで演じられるベテランの突然の訃報に、心よりご冥福をお祈りします。
田村正和氏は平成13(2001)年、平成14(2002)年と、長者番付〔高額納税者公示制度 ※平成17(2005)年度分より廃止〕の俳優部門にランキングされているほどの資産家です。ちなみに、平成13年の年収は7,799万円、平成14年は7,283万円と報じられています。
そこで、相続税を専門とする税理士の観点から、田村正和氏の相続にともなう相続税に着目しました。
田村正和氏の相続税額を計算すると…
田村正和氏の総資産は明らかにされていませんが、推定10億円とも、20億円とも言われています。相続税の税率は以下のようになっていますので、法定相続人が相続を承認すると、多額の相続税がかかることが予想されます。
※被相続人の遺産を相続した場合、総財産額に応じた金額(相続税額)を税金として国に納めなければなりません。
【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額 1,000万円以下 10% - 3,000万円以下 15% 50万円 5,000万円以下 20% 200万円 1億円以下 30% 700万円 2億円以下 40% 1,700万円 3億円以下 45% 2,700万円 6億円以下 50% 4,200万円 6億円超 55% 7,200万円
民法で配偶者は常に法定相続人となると定められていて、法定相続分は財産総額の1/2。奥様の和枝さんの相続分となります。残り1/2を分ける権利のある法定相続人には、民法で定められた順番(順位)があります。
相続権の第1順位は直系卑属で、被相続人(亡くなった方)より下の世代の子や孫になります。田村正和氏には早樹子さんという一人娘がいて、娘さんにもお子さんがいるようですが、子が存命なので孫は法定相続人に含まれません。
第2順位は直系尊属、つまり被相続人より上の世代の両親・祖父母ですが、正和氏の場合、いずれも亡くなっています。
第3順位は兄弟姉妹で、長兄の田村高廣氏は亡くなっているので、次兄・田村俊磨氏、弟・田村亮氏、異母弟の水上保広氏となります。平成25(2013)年の民法改正で非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子)も嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子)と同等の相続配分となりました。
田村正和氏に子も、孫も、両親・祖父母もいない場合、第3順位の兄弟姉妹が相続する権利があるのですが、今回の場合、相続権はありません。
また、相続税の課税額には基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)がありますので、法定相続人は奥様と娘さんですから、以下のようになります。
総財産額が20億円の場合:基礎控除額3,000万円+600万円×2人=4,200万円、課税遺産総額19億5,800万円、相続税額9億3,290万円
※当税理士法人サイトの「相続税の計算シミュレーション」を使って30秒で簡単試算もぜひご参照ください。
田村正和氏の相続税対策
今までのお話は、田村正和氏が遺言を書いていない場合になります。もし、法律で定められた方式通りに書かれた遺言書があれば、原則として遺言内容が優先されます。万が一、「妻に全財産を」などと書いてあれば、娘さんは「遺留分侵害額請求」を行使することができます。
※当税理士法人サイト内コラム「遺言書の効力」とは。無効の場合、開封した場合や遺留分減殺請求なども、ぜひご参照ください(なお、令和元(2019)年7月施行の改正民法(相続法)により、「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」へと名称・内容が変更されました)。
しかし、正和氏は遺された家族が困らないようきちんと配慮していたようですので、この家族に限れば「争族」とは無縁でしょう。
田村正和氏のご自宅は、土地面積が1,000㎡近い豪邸だそうです。所在地は公表されていませんが、東宝スタジオはじめ撮影所やプロダクションが近辺にあり、俳優や映画関係者が多く住むことで知られる、東京都世田谷区の高級住宅地ではないかと言われています。
令和3(2021)年度の路線価は7月1日に公表される予定ですが、自宅と推定される宅地の現在の路線価は52万円/1㎡です。仮に1,000㎡とすると、宅地の相続税評価額は5億2,000万円となります。
正和氏は相続税対策として、2001(平成13)年、この自宅を自身の個人事務所・新和事務所に名義分割していたようです。さらに、2014(平成26)年、持分を奥様の和枝さんへすでに生前贈与されています。また、1988(昭和63)年には、横浜市郊外に生前墓も購入していたそうです。
若い頃は「日本のアラン・ドロン」と呼ばれ、モッズ・ファッションや「VAN」を着こなし、今で言うファッション・アイコンだった田村正和氏。人生の仕舞い方もダンディで、「静かに逝きたい」が唯一の望みだったとのことです。
押さえておきたい相続税の知識
申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です
①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。
相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。
相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
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特に不動産・土地を相続する方はご注意ください
相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。
当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。
今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。
相続税節税のプロ集団による
最大限節税できる相続税申告を
岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志
税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業
相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,392件(2024年10月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。