「遺言信託の費用」は高い?作成費や執行報酬を節約する方法
「遺言信託の費用」は依頼先によって費用が大きく変わります。具体的な例を挙げながら解説していきます。
円満な相続のために、「きちんとした遺言書」を作成しようと思われる方も多いかと思います。
ここでは、遺言に不安がある時役立つ「遺言信託」について解説します。
相続税節税のプロ集団による
最大限節税できる相続税申告を
遺言信託にはどんなメリットがあるのか
遺言を実現させる「遺言信託」
遺言信託とは、信託銀行に遺言書の作成の相談や遺言書保管の依頼をしたり、実際に相続が発生したとき、遺言執行者として遺言の実現をフォローしてもらうサービスのことを指します。
費用はかかりますが、相続人の中に障害者や幼い子どもがいるなど、遺言内容の実現に不安が残る場合に、安心して亡くなったあとの手続きを任せることができます。
遺言信託の流れとしては以下です。
①遺言作成(公正証書遺言の場合)
事前相談→公証役場で打ち合わせ→遺言書の作成
②遺言補完
遺言書の保管→定期照会・見直し
③遺言執行時
遺言者死亡→信託銀行へ通知→遺言の執行(遺産分割・名義変更の手続き等)
デメリット
サービス内容に見合わない費用
遺言信託のデメリットとして、その高額な費用があげられます。ほとんどの銀行が行っているサービスですが、その相場をみると、たいていは遺言作成の段階で基本手数料として30万円前後の費用が発生します。(図1)そこに、さらに「遺言執行報酬」というものがついてきます。(図2)
図1 遺言信託の費用
三井住友信託銀行 | 三菱JFJ信託銀行 | りそな銀行 | みずほ銀行 | |
---|---|---|---|---|
基本手数料 | 324,00円 | 324,00円 | 324,00円 | 324,00円 |
遺書保管料 | 6,480円(年間) | 5,400円(年間) | 6,480円(年間) | 6,480円(年間) |
変更手数料 | 54,000円 | 54,000円 | 108,000円 | 108,000円 |
遺言執行報酬の 最低報酬額 |
1,080,000円 | 1,620,000円 | 1,080,000円 | 1,080,000円 |
図2 遺言執行報酬の料率(平成26年度7月14日現在)
三井住友信託銀行 | 三菱JFJ信託銀行 | りそな銀行 | みずほ銀行 | |
---|---|---|---|---|
自社預金等 | 0.324% | – | 0.324% | 0.324% |
5000万円以下 | 2.160% | 2.0% | 2.160% | 1.836% |
5000万円~1億円 | 1.620% | 1.5% | 1.620% | |
1億円~2億円 | 1.080% | 1.0% | 1.080% | 1.080% |
2億円~3億円 | 0.864% | 0.8% | ||
3億円~5億円 | 0.648% | 0.6% | 0.540% | 0.648% |
5億円~10億円 | 0.432% | 0.5% | 0.432% | |
10億円~ | 0.324% | 0.3% | 0.324% |
遺言執行報酬は、遺産の額(通常は相続税評価額)によって計算されます。ただし、遺言執行者である信託銀行の預かり資産については軽減されます。
最低報酬額は大体どこの銀行も100万円ほどですが、遺産の総額が高いほど、遺言執行報酬の額も上がるので、最低報酬額からさらに加算される方もいらっしゃるでしょう。
また、遺言執行報酬には、遺産の額による料率とは別に、司法書士、税理士等への報酬などの費用も加わります。
さらに、遺言信託は一度支払えば完了するものではなく、サービスを開始してから実際に相続が開始するまでの間、毎年遺言書の保管料がかかります。
さらに、遺言内容を変更した際にも5万円以上の変更手数料を取られます。
特に多くの不動産を所有する地主の場合、登記変更費用などが通常よりも多くかかるため、総額で数百万円に上る可能性も大いにあります。
遺言信託は誰に頼むのが一番良いのか
弁護士や税理士に依頼してコストを節約
実際のところ、不動産の名義変更くらいであれば、銀行でなくても司法書士に頼めばしてくれます。わざわざ高いお金を払って遺言信託を利用するよりは、そちらのほうが、一件につき55万~10万円(目安)で済みますので、費用を大幅に節約することができます。
現在、銀行以外にも、弁護士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所、税理士事務所など、遺言信託サービスを提供している業者は多数ありますので、ご自分にあった相談先を検討されることをおすすめします。
押さえておきたい相続税の知識
申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です
①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。
相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。
相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
相続税はいくらかかる?無料で相続税額を計算シミュレーション
特に不動産・土地を相続する方はご注意ください
相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。
当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。
今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。
相続税節税のプロ集団による
最大限節税できる相続税申告を
岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志
税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業
相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,430件(2024年11月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。