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「負担付贈与とペット信託」とは。愛するペットに相続させたい

最終更新日:

「負担付贈与とペット信託」について詳しくまとめています。

愛犬に遺産をすべてあげたい

先日覚せい剤で死亡した「紀州のドン・ファン」こと野崎氏の総資産は約50億円。その財産は55歳年下の妻と6人の兄弟に相続されるようで、それぞれの相続財産をざっくり計算するとこのようになります。

チェック妻:37億5000万円
チェック兄弟(1人あたり):2億円

妻が野崎氏と結婚したのはつい3ヶ月弱前のこと。ほんのわずかな期間で莫大な財産を手に入れてしまったのです。

ところで、そんな野崎氏は、生前「愛犬に遺産をすべてあげたい」と言っていたようです。
通常、相続人になれるのは配偶者や子、父母などの直系尊属や兄弟姉妹だけ。犬や猫といったペットは相続人として指定できないはずです。
とはいえ、そうであってももし、被相続人が生前に「何としてでもペットに相続させたい」と言っている場合はどう対処すればよいのでしょうか。潔くあきらめるよう説き伏せますか?それとも何らかの策を講じますか?

ペットは相続人になれない…

原則として相続人にあてはまるのは、被相続人の配偶者や子、父母などの直系尊属や兄弟姉妹、そして遺言がある場合はそこで指定されている人で、まず「人」であることが前提です。
動物は「物」にあたるため、本来ならばペットを相続人として選ぶことはできません。

ペットを相続人に近い存在にできる2つの方法があった

「自分が死んだあと、愛する犬や猫はどんな人に託されるのだろう…。その人にどんな風に大切にされるのだろう…。もしかしたら自分を恋しがるかもしれない…。」と思うと心配でなりませんよね。動物が好きな人にとって、財産をペットに相続させたいと願う人も少なからずいるはずです。

しかし、相続人になれるのは人だけで、物にあたる動物は相続できないという現実…。とはいえ、ペットを相続人に近い状態にできる方法が2つあります。

負担付贈与を使って遺産をあげる代わりにペットの世話を託す

負担付贈与では、被相続人が遺言で遺産をあげる相手を決めて、その相手に対して遺産をあげる代わりにお願いを託すことができます。
つまり、負担付贈与を利用してペットの面倒をみてほしい人に対して遺産と引き換えにペットの世話を頼めるのです。
また、被相続人に指定された相手が託されたお願いをきちんとやっているかどうかを監視する遺言執行者がいるので遺産の悪用の心配はありません。

しかし、負担付贈与は受ける側にとって重荷となるはず。万が一飼い主の死後に遺言書を読んで自分がペットの世話を頼まれていたことを初めて知ったとなると、すんなりと受け入れるのは難しいですよね。家族に動物アレルギーの人がいたり、ペットを飼えない環境にいるとなったらなおさらです。

そのような場合があるために、負担付贈与を受けた相手は遺産とともにお願いを放棄できます。そのため、遺言でお願いを託した相手がペットの世話をしてくれず、ペットがまったく知らない人に託される可能性があります。

あらかじめ飼い主(被相続人)とお願いを受ける人で約束をしておく

ありきたりな方法ですが、ペットの飼い主(被相続人)が生きているうちに信頼する人にペットの世話を頼むという手も。
これはペット信託といって、あらかじめ飼い主とペットの世話をお願いする相手の間で契約をかわすことです。ペットのエサ代や病院代にあてる遺産を渡して契約がむすばれます。

負担付贈与と違ってペット信託では、被相続人の亡くなる前に契約をかわしているので相手がお願いを取り下げることはほぼありません。ペットの面倒をみてくれる人が絶対にいるという点で安心できます。
一方で、契約をかわした相手が遺産をペットの世話代にあてているかどうかを監視する人がいないため、どんな人に委ねるか見極める必要があります。

アメリカに行けばペットを相続人にできる

通常、ペットは相続人になれないものの、負担付贈与やペット信託といった方法を使えば見かけ上ではペットを相続人にできるようです。
しかし、「紀州のドン・ファン」こと野崎氏のようにペットを溺愛している人にとって、「ペットに相続させたい」というのはむしろ「ペットと一緒にいたい」という気持ちに近いのではないのでしょうか。そのような人たちからすると負担付贈与やペット信託は意味がないように思えます。

そんな中で以前アメリカで資産家が自分のペットにすべての財産(およそ2億7000万円)を相続させた例も。アメリカではペットを相続人にできる法律が州によってあります。もし本気でペットを相続人にしたいのであれば、アメリカに移住といった極端な最終手段もあります。
50億円もの資産を持っていたり「紀州のドン・ファン」と言わしめるほどの野崎氏がもしこのことを知っていたら、はたしてアメリカに移住してまで愛犬に財産をつがせていたのでしょうか…。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。

②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。

③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。

相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
相続税はいくらかかる?無料で相続税額を計算シミュレーション

特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

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この記事の監修者

岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志

税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業

相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
全国各地の相続税申告・還付を累計5,430件(2024年11月末時点)以上手掛ける。
特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

相続税専門の岡野雄志税理士
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